やさしさについて

堀場康一


やさしさはことばで表現できないと思い込んできた
やさしさはお金で買えず物と交換できず
こころの表現そのものだとずっと思ってきた
それでいいのかもしれないが
福岡に住む若き326(みつる)君のイラストを見たとき
ぼくのこころは揺れ動いた
かれの作品には絵やことばが気持ちよさそうに同居していて
まるで銀河からの贈り物のように
やさしさがあふれている
そう
ぼくらは憎しみを伝えるためにこの世に生まれてきたのではない
ぼくらはやさしさを伝えるためにこの世に生まれてきたのだ
ここにぼくはやさしさ頑固派を宣言する
そして今日もあの大通りの交差点に立ち
ぼくらの地球をやさしく踏みしめよう




 詩集『記憶のサラダボール』目次

 Copyright (c) Koichi Horiba, 1997