出 発

堀場康一




奏楽堂 (名古屋・鶴舞公園にて)

朝日が町に充満する
新鮮なひととき
精霊たちが談笑する奏楽堂のかたわらで
ぼくは鳥たちの澄んださえずりを聞く
何かを始めようとして
怖じ気づいたり
何かを作ろうとして
気後れしたり
心はいつも焦点が定まらないが
どういうわけか
ぼくの前に道はある
ぼくの後ろに道はある
ぼくはケータイ片手に
チョコレート色の列車に乗り込む
行く先を決めるのは
あなた そして ぼく
未来予想図をいっしょに
空色のキャンバスに描きたいから
海岸線を夏へまっしぐら




1999/05/21, 2007/07/01



 詩集 水平線 目次

 Copyright (c) Koichi Horiba, 1999