浄瑠璃寺ソング

堀場康一


わらい仏の写真
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つらら姫さま提供。
(付記参照)

浄瑠璃寺をたずねるときは
ハイキングスタイルで出かけよう
浄瑠璃寺の少し手前でバスを降り
ウグイスや山雀の鳴く山道を歩こう
途中で石仏を見つけたら
こんにちは ごきげんいかが
と声を掛けてみよう
すると石仏はやさしくわらい
おいでやす
と応えるだろう

浄瑠璃寺をたずねるときは
心を鬼にしていてはいけない
野道のわらい仏と対面し
心をシュークリームにしてから
浄瑠璃寺の小さな山門をくぐろう

浄瑠璃寺をたずねるときは
ポケットカメラをもっていこう
苑池と本堂を背景に
石灯籠のあたりで記念写真をぱちりと撮ろう
それであなたに運が向いたら
九体阿弥陀の思し召し

浄瑠璃寺の吉祥天はお天気屋
うまく拝めるかどうかは
吉祥天の気分次第
運良くめぐりあえたなら
ちょいと足を伸ばし
西大寺で大茶盛といこう
ご機嫌斜めで厨子の扉に隠れていたら
さっさとあきらめて
東大寺南大門に舞い戻り
仁王さんとにらめっこしよう

ところで浄瑠璃寺とさよならするときは
近くの岩船寺にいそいそと表敬訪問しよう
それが当尾の里へのこころづかい



付記: (1999/07/21)

 浄瑠璃寺は岩船寺とともに当尾(とうのお)の里にあるお寺です。奈良と京都の県境の京都府相楽郡加茂町にありますが、奈良周辺の名所として知られ、奈良駅からもバスが出ています。また岩船寺と浄瑠璃寺を結ぶ石仏の道は散策コースになっています。

 8年ほど前、私は浄瑠璃寺を訪れたことがありますが、時期外れで吉祥天女像は拝観できず、わらい仏にもめぐりあえませんでした。

 ところが、詩集『ボストンバッグ』を買っていただいたつらら姫さま(ホームページはここをクリック)から、たまたま浄瑠璃寺やわらい仏の話をうかがうことができ、詩にまとめてみました。清楚なわらい仏の写真は、つらら姫さまから送っていただいたものです。

 こんど浄瑠璃寺を訪ねるときは、吉祥天女像の開扉の時期をえらんで、のんびり出かけたいと思っています。(作者)


 詩集『記憶のサラダボール』目次

 Copyright (c) Koichi Horiba, 1999