スイング

堀場康一


秋風が吹くように
からだが揺れる
川面にさざなみが立つように
こころが揺れる

電車ががたごと通り過ぎるように
からだが揺れる
坂が小刻みに上下するように
こころが揺れる

アスファルトのまんなかで
ぼくはスイングしている

スイングして人は大きくなったし
スイングして人は成長しつづける
自慢するほどのこともないが
ぼくはスイングして生きている

ひっそりとした夜明け
薄暗いガード下をくぐり抜け
階段を一気に駆け上がる
地上に顔を出すと
曇り空がぼんやりと光っている
いい天気ではないが
大地がウォーミングアップして
一日の準備をするには
十分な明るさだ

ぼくは舗道に出て
ステップを確かめながら
あなたの姿を思い描いて
きょうも走り続けている


2004/09/17, 2004/11/25


詩集 水平線 目次

Copyright (c) Koichi Horiba, 2004