スイング
堀場康一
秋風が吹くように
からだが揺れる
川面にさざなみが立つように
こころが揺れる
電車ががたごと通り過ぎるように
からだが揺れる
坂が小刻みに上下するように
こころが揺れる
アスファルトのまんなかで
ぼくはスイングしている
スイングして人は大きくなったし
スイングして人は成長しつづける
自慢するほどのこともないが
ぼくはスイングして生きている
ひっそりとした夜明け
薄暗いガード下をくぐり抜け
階段を一気に駆け上がる
地上に顔を出すと
曇り空がぼんやりと光っている
いい天気ではないが
大地がウォーミングアップして
一日の準備をするには
十分な明るさだ
ぼくは舗道に出て
ステップを確かめながら
あなたの姿を思い描いて
きょうも走り続けている |
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