ぼくのスターティングオーバー
堀場康一
ぼくが詩を書くのは誰かに読んでほしいから
自分で読むために詩を書くのではない
そうは思うけれど
自分の気持ちを人に伝えるのは容易な業でない
前進後退
右往左往
行方も知れず
時も分かたず
気がついてみれば
詩の朗読会で
自作の詩を披露するくらいが関の山
なんという脳天気と思いつつ
いつのまにか言い訳じみた口上に
なりつつあるのが気にかかる
詩たらんと欲して詩にならず
自ら動かんと欲すれど動かず
ぼくの頭がルーレットのように空回りして
脳天直下
急降下
宇宙遊泳
夜間飛行
トリプルルッツ
トリプルクロス
サザンクロス
クロスロード
土俵上で突き倒され
意識朦朧として
とある公園のベンチで目を覚ます始末
これはあきらかにワープ現象
SFならぬ
想い出のサンフランシスコの
ゴールデンゲートブリッジが
深い霧に包まれている気配
五里霧中
無我夢中
自問自答
ケ・セラ・セラ
一寝入り
狸寝入り
人身御供
おとり捜査
鬼さんこちら
手のなるほうへ
砂漠のオアシス
夢見る地球
あなたを追って
夜明けの町へ
ふたたび繰り出せば
それが
ぼくのスターティングオーバー |
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