アップアンドダウン
堀場康一
風がぼくの心にしみわたる
なにかをはじめなくてはいけないのに
なにもはじめられない はじまらない
息苦しいわけではないが
ひりひりと心が痛む
母の顔を眺めていて
申し訳ない気持ちになる
言葉遊びをしているわけではないが
なにもはじめられないことが
なにかのはじまりではないのか
だとすればぼくも
気を取り直すことができる
気後れせずに歩き出せる
まず生きていくことがあり
ありのままの自分から始めてみる
アップアンドダウンは
人生について回るもの
いずれ道が大きく開けるときが
あるはず
いずれ目の前が明るくなるときが
来るはず
そのときのために
愚痴を言うのでもなく
へこたれるのでもなく
早朝の町をたんたんと走り続けて
人生の山を越えて行こう |
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