心にエンジン
堀場康一
見えない扉をさぐりあて
心にエンジンをかける
エンジンがスタートしても
心は容易に動き出さない
きのうと同じ場所を行ったり来たりして
ぼんやり空を仰ぎ見る
一体どこへ行こうというのか
旅人はいつも
明日を追いかけているわけでも
過去を回想しているわけでもない
足の向くまま歩き回ったり
決められた行路を辿ることもある
行く先を決めかねて立ち往生したり
その場にならないとわからないこともある
見えない扉を見つけ出し
心にエンジンをかける
そして心が動き出すのを待つ
やがて明け方の搭乗時間が来て
ぼくらの未来飛行がささやかに始まるまで
ひとときの雨宿り
梅雨明けが近い |
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