心にゴング
堀場康一
白鳥橋から堀川沿いに進むと
夜明けの渡し場に辿り着く
遠くに名港トリトンの橋の輪郭が見え
しばしぼくは立ち尽くす
川面にさざなみが立ち
心がふるえる
ぼくは心にゴングを鳴らし
両手で大きく背伸びして
届かないものが届くように
見えないものが見えるように
会えないひとと会えるように
たくさん川にお願いしてみる
川は返事をしないが
ぼくは夢をもちつづけるだろう
そして
もう一度心にゴングを鳴らし
河岸通りを力いっぱい滑走して
未来へ飛び立つ
2005/09/21
詩集 水平線 目次
Copyright (c) Koichi Horiba, 2005