未来のかけら

堀場康一



風を吹かせるのはたやすいことさ
いつでもどこにでも
風を吹かせることができる
と口々に人は言う

ほんとうにたやすいのか
たやすくていいのか
ぼくにはわからない
わからないまま口をあいている

ぼくは風を吹かせるからくりを
この目でたしかめたいから
風のただよう川の渡し場めざし
夜明けの町を走り続けるだろう
そこに未来のかけらがあるかもしれないから

2005/11/18, 2006/10/23


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