マウンテンバイクとかぼちゃの夢

堀場康一



東京に住んでいたころ自転車をもっていた
たまに乗っていただけだけれど愛着のある自転車だった
東京から名古屋へ引っ越してきたとき
自転車ももってきた
結局たいして乗らず錆び付いてしまい
廃品回収に出した
かわいそうなことをしたと思った

あれから十数年たった
今度は自転車というかマウンテンバイクがほしくなった
マウンテンバイクといえば
あの忌野清志郎さんのマウンテンバイクが盗難にあったが
しばらくして発見され本人の手に無事に戻ってよかった
いっそ清志郎さんのマウンテンバイク・バンドに入団して
おねだりしてみようか
清志郎さんは慈悲深い御仁だけれど
マウンテンバイクとなると
無理は通らないかもしれない
ひとまずマウンテンバイクはあきらめて
ランニングスタイルで冬の町へ出かけるとしよう

まもなく冬至がやってくる
冬至の日にはかぼちゃの馬車に乗って
シンデレラならぬ白雪姫と七人のこびとを迎えに行こう
一緒にかぼちゃスープ かぼちゃパイ かぼちゃパンを食べ
かぼちゃの仮面をかぶって
ハロウィーンみたいに踊りながら町を練り歩こう
そして歩きつかれて
いつのまにかみな眠りにつく

目を覚ますとあたりは銀世界
白雪姫とこびとたちはすやすやと眠っている
ぼくはいつものようにキャラメルや飴玉を舐めながら
家の外に飛び出し
東の地平線が赤らんで影絵のようになった
夜明けの町を駆けて行く


付記

 2005年12月20日の日記も合わせてご覧下さい。
2005/12/22


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