ささえあう

堀場康一



人にたよったり
よりかかることを
ぼくはいさぎよしとしなかった
たよらず
よりかからず
いつのまにかここまできた
なんということだ
人にたよらないことが
美徳とでもいいたいのか
そんなことはない
人にたよったり
よりかかることは
決してわるいことではない
自分で答えが見出せなければ
人にたよるがいい
人によりかかるがいい
そうやってぼくら人間は
長い歴史を生き抜いてきた

二〇〇六年二月のトリノオリンピックで
日本勢のメダルの数が話題になった
競技初日の女子モーグルで
上村愛子選手は五位だったけれど
お母さんたちが用意した
手作りの大きな金メダルが
レースのあと上村選手の胸で光っていた
深い信頼のもとで
ささえあい たよりあって
レースに身を捧げる姿は
なんと素晴らしいことだろう

ぼくも
たよりあい
よりかかりあい
ささえあいながら
生きていかれる生活を
めざしたいと思う
それがなんなのか予想つかないが
ケセラセラ
なんくるないさ
時の流れに身をまかせ
これから生きて行くだろう


付記

 終わりから2行目の「時の流れに身をまかせ」は、テレサ・テンの1986年の同名のヒット曲によります。
 2006/03/20付の日記も合わせてご覧下さい。
2006/03/20


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Copyright (c) Koichi Horiba, 2006