青空

堀場康一



崩れ落ちるものがあると
心はさびしくなるが
嘆くことはない
そんなのはよくある出来事さ
崩れ落ちていくとき
何か学んだだろうか
電車が踏切を通り過ぎるのを
ぼんやり待っていただけかもしれないし
踏切の向こうに
微笑みをさがしていたのかもしれない
ひとを好きになり愛するのも
絵空事でなく
いい加減にすませたくないから
戸惑いながらくりかえす
アテンションプリーズ
崩れ落ちたあと
ボトムから這い上がる力があれば
やがて窓があき
青空が見えるだろう
そういうものさ
世の中のなりわいは
いつだって受け止めてくれる
この素晴らしき世界
朝が来て
日が差して
ぼくらを呼んでいる


付記

 終わりから4行目は、ルイ・アームストロングの歌“What a Wonderful World”(この素晴らしき世界)によります。
2006/04/20
 2006/06/11 題名を「世界」から「ボトム」に変更しました。
 2009/12/09 題名を「ボトム」から「青空」に変更しました。



詩集 水平線 目次

Copyright (c) Koichi Horiba, 2006