堀場康一



影を追いかけて
陽のあたる夜明けの町を走る
影を追いかけて
大通りをひたすら西へ走る
自分の影を追い抜こうとしても
追いつけない
追い越せない
ぼくの影はのびたりちぢんだり
いつもふらふらしているが
逃げ出そうとせず
いつも目の前にある

影のような存在でありたい
影のような存在でいい
と思うことがある
影であれ
日向であれ
どちらも人のいきざま
人のいのちがかよっている

影を追いかけて
ぼくは走る
だれかを追うように
ぼくは走る
影の行く先はいま定かでないが
いつか見届けることができたら
きっと心がほぐれるにちがいない


付記

 2006/03/31付の日記も合わせてご覧下さい。
2006/04/09


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Copyright (c) Koichi Horiba, 2006