影
堀場康一
影を追いかけて
陽のあたる夜明けの町を走る
影を追いかけて
大通りをひたすら西へ走る
自分の影を追い抜こうとしても
追いつけない
追い越せない
ぼくの影はのびたりちぢんだり
いつもふらふらしているが
逃げ出そうとせず
いつも目の前にある
影のような存在でありたい
影のような存在でいい
と思うことがある
影であれ
日向であれ
どちらも人のいきざま
人のいのちがかよっている
影を追いかけて
ぼくは走る
だれかを追うように
ぼくは走る
影の行く先はいま定かでないが
いつか見届けることができたら
きっと心がほぐれるにちがいない |
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