バスターミナル

堀場康一



バスターミナルでバスを待つ気分と
遠くにいる人を思う気持ちを
秤にかけてはいけない
おのれの人生を秤にかけてきたぼくは
いつしか行き場を見失い
路地裏のスタンディングカフェで
表の風景に気をとられている

陽のあたる午後の公園通りに
カラフルなラッピングバスがやってくる
元気印の子供たちが通りかかったら
即興ドラマが始まるかもしれない
この調子であした晴れるといいけれど
雨がぱらつきそうな気配もある
バスを待つ間ぼくの頭は世界を一巡する

まもなくお目当てのバスが来たら
バスを待つ気分と
遠くにいる人を思う気持ちを
そのままカバンに入れて
バスに乗り込もう


付記

 2006/04/23付の日記も合わせてご覧下さい。
2006/05/01,2008/04/10


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