バスターミナル
堀場康一
バスターミナルでバスを待つ気分と
遠くにいる人を思う気持ちを
秤にかけてはいけない
おのれの人生を秤にかけてきたぼくは
いつしか行き場を見失い
路地裏のスタンディングカフェで
表の風景に気をとられている
陽のあたる午後の公園通りに
カラフルなラッピングバスがやってくる
元気印の子供たちが通りかかったら
即興ドラマが始まるかもしれない
この調子であした晴れるといいけれど
雨がぱらつきそうな気配もある
バスを待つ間ぼくの頭は世界を一巡する
まもなくお目当てのバスが来たら
バスを待つ気分と
遠くにいる人を思う気持ちを
そのままカバンに入れて
バスに乗り込もう |
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