詩人について

堀場康一



詩人と呼ばれるために
どれほど詩を書けばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど詩を朗読すればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど詩誌に投稿すればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど詩の読者とめぐりあえばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど人気者になればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど詩集を出せばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど詩壇と交わればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど喜怒哀楽を味わえばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど恋をすればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど思い悩めばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど音楽に耳を傾ければいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほどカラオケで歌をうたえばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど感動すればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほどお金を稼げばいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほどユーモアがあればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど大声を張り上げればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど沈黙を守ればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど早起きすればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど深呼吸をすればいいのか
詩人と呼ばれるために
どれほど言葉を吐き出せばいいのか
……………………………………

詩人の問いはどこまでもつづく
ぼくの前には詩人がいて
そしてだれでも詩人に近づける

初夏の朝の日差しはまぶしい
新緑に包まれた遊歩道は
詩のかけらがあふれている
ぼくは詩人と名乗れる日を夢見て
朝の町を駆けていく

2006/05/22


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