未 来

堀場康一



未来は自明でないが
ふいに未来がやってくることがある
人の思いとはうらはらに
唐突に未来の扉がひらくことがある
未来がぼくらを引っ張っているのか
ぼくらが未来を引き寄せているのか
さだかでないが
どうやらぼくらの前に未来はある

スタートラインに立つと
未来は遠くかすんでみえるが
とどかないところにあるわけではない
ぼくのめざすランドマークに合わせて
未来は七変化のように姿を現し
人知れず道案内をしてくれる

ぼくの未来はぼくだけでは決まらない
ぼくだけで決まると思っていたのは
たんなる思い込みにすぎなかった
日常のありふれたやりとりや
ふと訪れる出会いのなかで
未来が一つ一つ現実になっていく

青い空と海と砂浜と小舟
ただ水平線をながめるだけの
のんびりした昼下がり
ぼくの心の原風景が
ふたたび眼前にあらわれるかもしれない

そんな瞬間を思い描いて
心の用意をしておこう
未来をはぐらかさず
すなおに未来に飛び込めるように


付記

 2006/07/21付の日記も合わせてご覧下さい。
2006/07/22,2006/10/29


詩集 水平線 目次

Copyright (c) Koichi Horiba, 2006