未 来
堀場康一
未来は自明でないが
ふいに未来がやってくることがある
人の思いとはうらはらに
唐突に未来の扉がひらくことがある
未来がぼくらを引っ張っているのか
ぼくらが未来を引き寄せているのか
さだかでないが
どうやらぼくらの前に未来はある
スタートラインに立つと
未来は遠くかすんでみえるが
とどかないところにあるわけではない
ぼくのめざすランドマークに合わせて
未来は七変化のように姿を現し
人知れず道案内をしてくれる
ぼくの未来はぼくだけでは決まらない
ぼくだけで決まると思っていたのは
たんなる思い込みにすぎなかった
日常のありふれたやりとりや
ふと訪れる出会いのなかで
未来が一つ一つ現実になっていく
青い空と海と砂浜と小舟
ただ水平線をながめるだけの
のんびりした昼下がり
ぼくの心の原風景が
ふたたび眼前にあらわれるかもしれない
そんな瞬間を思い描いて
心の用意をしておこう
未来をはぐらかさず
すなおに未来に飛び込めるように |
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