陽のあたる町

堀場康一



薄暗い朝の交差点で
ライトをつけた車が通り過ぎるのを
ぼうっと眺めていると
かげろうのようなイメージが現れては消え
心の糸を一本一本つむいでいく
ぼくの運命は宙に浮いているが
あふれる思いを大空に放り投げて
ときにはたわむれてみたい
川沿いの道を走っていくと
ひんやりした空気が
心地よくからだにしみわたる
たどりついた鶴舞公園では
噴水塔が快くぼくらを迎えてくれる
だれも拒みはしない
なんと堂々たる噴水塔であることか
トンネルに出口があるように
夜闇をくぐり抜ければやがて
陽のあたる町と出合う
ほのぼのとした気配があたりに広がり
ぼくは朝の景色に溶けていく

付記

 鶴舞公園の噴水塔については、写真館「名古屋漫歩─吹上から栄筋」を参照下さい。
 2007/01/31付 日記 も合わせてご覧下さい。
2007/02/06, 2007/06/21


詩集 水平線 目次

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