堀場康一
百の質問を発せられて ぼくはたじろぐ 一つ一つ答えるとしたら いったい命はいくつあればいいのか ぼくの脳髄は計算し 人知れず宇宙をさまよい始める まるで地球が爆発するような 大袈裟な議論が飛び出しても ぼくは冷静に道草し ピンボールを躱しつづける 何という無関心 何という素っ頓狂 ぼくの心は防御体制を敷き ひとときの冬眠に入る そして夢のなかで大あくびをくり返す ふたたび朝日と出会うまで
詩集『ボストンバッグ』目次 Copyright (c) Koichi Horiba, 1996