堀場康一
パチンコの玉が 無表情にころがり落ちる ビルの谷間 家路を急ぐ人々 酒場のあかりが ちらちら目に映るころ いつものようにくり返される おしゃべり ざわめき いつ果てるとも知れない議論 いらいら もどかしさ 夜更けの町を あちらこちら あてもなく這いずりまわる 人々の群れ いつか ひっそりとした闇が あらゆる生き物を包みこむ 太陽がぽっかりと顔をのぞかせる 朝 まぶしい光のなかに 闇は吸いこまれていった
詩集『ボストンバッグ』目次 Copyright (c) Koichi Horiba, 1996