大 地
堀場康一
風が吹きわたり
大空に消えていく
夢は流されても
けっして消えることはない
虚無が夜明けの岸壁を駆けて
希望の入り口にさしかかる
時代(とき)がめぐりきて
おだやかに町を包む
夢は瓦礫を越え
小舟を漕いで大海をめざす
行く先は遠くかすんで見えるが
おそれるに足らず
だれもあざけたりしないし
だれも押し止めたりしない
すべての暗闇を人々は通り抜けてきたから
すべての光明が人々を待ち受けているから
ぼくらの務めはほかでもない
目を覚まし立ち上がり
閉じた空間から出て世界と交わることだ
ひらけた地平にあらたに彫刻を作ることだ
むずかしいことが多いけれど
いつか明日の扉を開いて
思い切り笑顔で飛び跳ねよう
生きている大地にエールを送るために |