今日の一句 俳句集
2003年12月〜2005年9月

『日記』http://morningrun.jugem.cc/
堀兵衛の名前で書いている「今日の一句」をあつめました。
俳句は有季・定型・歴史的仮名遣いを基本としています。
俳句の日付はそれぞれ『日記』の日付と対応しています。
2003年12月〜2005年9月まで計544句収録。

(堀場康一 記)


目 次
2003年12月(16句)
2004年1月(32句)
2004年2月(32句)
2004年3月(32句)
2004年4月(31句)
2004年5月(18句)
2004年6月(22句)
2004年7月(28句)
2004年8月(29句)
2004年9月(23句)
2004年10月(27句)
2004年11月(27句)
2004年12月(25句)
2005年1月(31句)
2005年2月(25句)
2005年3月(16句)
2005年4月(2句)
2005年5月(29句)
2005年6月(26句)
2005年7月(28句)
2005年8月(28句)
2005年9月(17句)


■ 2003年12月 (16句)
2003.12.17 火を渡る人びとの威勢に寒さ忘る
2003.12.18 遠き国イラクを思ふ冬の空
2003.12.19 慌しさだけが過ぎ行く年の暮
2003.12.20 マイカーをすっぽり包む雪の朝
2003.12.21 落ち葉踏む顔がほころぶ山歩き
2003.12.22 境内は人影まばら冬至の朝
2003.12.23 冬曙パン屋の仕込みこもる湯気
2003.12.24 冬の宵拍手でフィナーレ小劇場
2003.12.25 クリスマス商戦町を駆け抜ける
2003.12.26 裏庭に彩り添へる実千両
2003.12.27 年の瀬や呼び声高らかパソコン街
2003.12.28 冬うららオンリーワンがこだまする
2003.12.29 冬休みがらんと建ってゐる校舎
2003.12.30 年用意しつつ一年振り返る
湯豆腐に思ひ出したる京の寺
2003.12.31 大晦日理容師のはさみ気ぜはしく


■ 2004年1月 (32句)
2004.01.01 しののめにランニングして初詣
2004.01.02 新春の箱根路若人ひた走る
2004.01.03 渋滞に出合ひ気を揉むお正月
2004.01.04 初夢は流星号で未来飛行
2004.01.05 冷たさも肌に慣れたり冬の朝
2004.01.06 境内に鶏鳴響く寒の入
2004.01.07 冬満月玄関先を照らしをり
2004.01.08 北風が川を渡りて身に迫る
2004.01.09 寒稽古気分で走るランニング
2004.01.10 競ひ合ふヘッドライトと冬満月
2004.01.11 街頭のかけ合ひ万歳なつかしき
2004.01.12 成人の日晴れ着で朝の宮参り
2004.01.13 わびしさや街路を濡らす冬の雨
2004.01.14 初場所や一人横綱力こぶ
2004.01.15 手袋をとりて両の手擦る朝
2004.01.16 見上ぐれば月うつくしき冬の朝
2004.01.17 朝の町動きはじめて雪が降る
2004.01.18 アスファルト凍ててすべりさうな朝
2004.01.19 寒空をヘッドライトが照らしけり
2004.01.20 冬の朝家々の影絵地平に浮ぶ
2004.01.21 大寒の空透きとほり星きらきら
2004.01.22 ネオン冴ゆ広小路通急ぎ足
寒空や月は消えたり潮は満つ
2004.01.23 豆撒きの回覧を見て春を思ふ
2004.01.24 冬晴れや雲ふうはりとビルの上
2004.01.25 朗読会のあとの鍋焼温まり
2004.01.26 寒天に夜景きらめく跨線橋
2004.01.27 冬日向水道工事の音ひびく
2004.01.28 わびしさや一人で食す雑炊の味
2004.01.29 干蒲団家並みに映える枯木道
2004.01.30 冬の雲空を覆ひて夜が明ける
2004.01.31 春近し心が躍る駅前通


■ 2004年2月 (32句)
2004.02.01 初詣伊勢路の旅はつつがなし
冬晴れや神恩太鼓天を衝く
冬凪やもちつもたれつ夫婦岩
2004.02.02 春近し心が躍る駅前通
2004.02.03 恵方寿司頬張りあすの幸祈る
2004.02.04 冬の空雲の行列どこへ行く
2004.02.05 問屋街ひっそり閉まる冬の夜
2004.02.06 大通り駆けて一息雪の朝
2004.02.07 冬うらら少女のひとこと笑みさそふ
2004.02.08 拍手わくパフォーマンス春近し
2004.02.09 冬の雲編隊飛行サーカス団
2004.02.10 春寒しリバーサイドでランニング
2004.02.11 臘梅の咲く東慶寺なつかしき
2004.02.12 OLの足取り軽し春の音
2004.02.13 早春の街さっさうとバスは行く
2004.02.14 愛といふ幸せさがすバレンタインデー
2004.02.15 春寒し公園の朝人まばら
2004.02.16 小舟こぎ公魚とあそぶ入鹿池
2004.02.17 春一番名古屋をよけて吹き過ぎぬ
2004.02.18 冴返る噴水塔のライトアップ
2004.02.19 モリゾーとキッコロ・クレーン春に舞ふ
2004.02.20 春浅しビルの窓から覗く未来
2004.02.21 春めきて自動車の群れ活気あり
花椿排ガス浴びて物悲し
2004.02.22 路地裏とビルの谷間に春の雨
2004.02.23 春一番傘をとられて小休止
2004.02.24 忠臣蔵忘れた頃に大石忌
2004.02.25 洗濯物干して一息春霞
2004.02.26 競ひ合ふ街角ファッション春うらら
2004.02.27 枝垂梅しろき舗道を飾りける
2004.02.28 ギャラリーの卒業展示巣立ちの日
2004.02.29 閏日に長距離ランナーの孤独おもふ


■ 2004年3月 (32句)
2004.03.01 百歳のスキー滑走かがやける
2004.03.02 地下鉄で一息つきし余寒かな
2004.03.03 どこといふこともなく過ぐ雛祭
2004.03.04 夕暮れの春風に足掬はれぬ
2004.03.05 舟影や川面で揺れしうららかに
2004.03.06 群青の空冴返る広小路
2004.03.07 梅の花さがして町を右左
2004.03.08 卒業式かの日行き来し学園通
2004.03.09 朝の町緋寒桜がよく似合ふ
2004.03.10 ライバルに知らんぷりする入学試験
2004.03.11 春暁や歩道で遊ぶ鳩うれし
2004.03.12 春宵の空へ伸び行くエンタシス
2004.03.13 朝霞地平で揺れる車影かな
2004.03.14 卒業式旅立ちの日に合唱す
2004.03.15 春眠や目覚しの音うはのそら
2004.03.16 ささやかに咲ける夜明けの雪柳
2004.03.17 朝日浴ぶ辛夷並木はすがすがし
2004.03.18 春の雨打たれて心あたたまる
2004.03.19 ぐりとぐら春野を走る元気よく
2004.03.20 黄水仙いちめんに咲き話はずむ
2004.03.21 パンジーや色とりどりの心模様
2004.03.22 ハルウララ泥はねのけてゴールイン
ハルウララ一番人気気負いなし
2004.03.23 亡き姉と話してみたい彼岸かな
2004.03.24 春風に吹かれて吾はどこへ行く
2004.03.25 春雨や滲むライトがなつかしき
2004.03.26 雨音を聞きてもすこし朝寝かな
2004.03.27 ラジカセがひびく都会の朝寝かな
2004.03.28 のどけしや人待ち顔の高架下
2004.03.29 花冷えの町星々は眺めけり
2004.03.30 花曇りシャドーボクシングする気分
2004.03.31 ペリー来て国開かれし春いづこ


■ 2004年4月 (31句)
2004.04.01 恙無く過ぎしエイプリルフールかな
2004.04.02 花曇くるまの列に空仰ぐ
2004.04.03 堀川の流れゆらゆら花盛り
2004.04.04 うぐひすの姿さがして右往左往
2004.04.05 母と子の笑顔がうれし入園式
2004.04.06 雪柳に包まれ乙女ら何を思ふ
2004.04.07 春ストーブ居間に居座り日が沈む
2004.04.08 群青の空に見とれし春の暮
2004.04.09 ランニングしてあふぎみる朝桜
2004.04.10 花散るや校舎の脇で見届けし
2004.04.11 花屑を踏みしむ川辺駆ける道
2004.04.12 白子干無造作に食卓飾りけり
2004.04.13 落日や母の眼差しぶらんこに
2004.04.14 ぶらんこや子供のころに舞ひ戻る
2004.04.15 春の夜遠き国からよき知らせ
2004.04.16 八重桜にごりえのごと咲き誇り
2004.04.17 春風やにごりえのごと水面揺れ
2004.04.18 春たけなは海のむかふで銃が鳴る
2004.04.19 公園ではしゃぎ声する春暮れる
2004.04.20 春ストーブ置いてきぼりにされにけり
2004.04.21 交差点行きつ戻りつ春の風邪
2004.04.22 春風や殿堂入りの報届く
部屋のなか散らかってゐる春暑し
2004.04.23 公園で一休みする暮春かな
2004.04.24 春嵐心のもやが吹き飛びぬ
2004.04.25 花屑を踏みしめる朝鳩あそぶ
2004.04.26 人づてに聞きて行きたし遍路道
2004.04.27 一周年のランニングして春終る
2004.04.28 行く春や居所さがしランニング
2004.04.29 葉桜やすくすく育て子どもたち
2004.04.30 朝日浴び心も晴れしつつじ道


■ 2004年5月 (18句)
2004.05.01 手をつなぎ親子で歩くつつじ道
2004.05.02 かちかちと響きし朝の蜆汁
2004.05.03 春雨やニューヨークの友思ひ出す
2004.05.04 春満月雲に隠れて一寝入り
2004.05.05 川縁につどひて体操夏来る
2004.05.06 玄関先にぎやかな声立夏かな
2004.05.12 青嵐の気配感じて急ぎ足
2004.05.13 高架下街灯まぶし緑雨かな
2004.05.14 夏場所や座布団舞ひて日が沈む
2004.05.15 薫風やペコちゃんにこり吾うれし
2004.05.16 新緑や店主の顔が綻びぬ
2004.05.21 ランナーが遠のきてゆく朝曇
2004.05.23 公園に行く人来る人朝曇
2004.05.24 五月場所横綱相撲で幕閉じる
2004.05.25 薫風やヘッドライトに吾惑ふ
2004.05.26 城壁をつたひて伸びる若葉かな
2004.05.30 高架線どこへ行くやら夏帽子
2004.05.31 サイレンの音気をとられ夏の朝


■ 2004年6月 (22句)
2004.06.01 さはさはと川面に映る青葉かな
2004.06.02 夏の月さそはれて歩く町しずか
2004.06.05 掛け声で祭りの朝は始まりぬ
2004.06.06 梅雨空が恨めしきわが暮らしかな
2004.06.07 洗濯物取り込んでゐる驟雨かな
2004.06.08 あざやかにメタモルフォーゼする青葉
2004.06.09 バス通り行く先もまた青葉かな
2004.06.10 緑陰を窓越しに見て一思案
2004.06.11 梅雨空に差し上げたいのは感動です
2004.06.12 ラジオ体操で始まる夏の朝
2004.06.13 二人連れあっけらかんと菖蒲池
2004.06.14 梅雨晴や母と子自転車競ひ合ひ
2004.06.21 夏至空や日差しはどこへ隠れけり
2004.06.22 夏台風去りて群青の空仰ぐ
2004.06.23 たんたんと走り出したり朝曇
2004.06.24 桜桃忌忘るるほどに人間失格
2004.06.25 青梅雨や川面の波紋なつかしき
2004.06.26 上弦が出たり隠れたり夏の宵
2004.06.27 梅雨晴間くるまの列は途切れなし
2004.06.28 雨戸打つ雷雨でめざむ夜明けかな
2004.06.29 緑陰をくぐりてそよぐ風やさし
2004.06.30 上弦の月に照らされ梅雨晴間


■ 2004年7月 (28句)
2004.07.01 雨上がり晴れわたる空半夏生
2004.07.02 名古屋ではビルとネオンと夏満月
2004.07.03 夏の朝ひとそれぞれのラジオ体操
2004.07.04 乙女らの声朗らかに梅雨晴間
2004.07.05 子供らの足を急かして驟雨かな
2004.07.06 暑さゆゑわが心空(くう)をさまよひぬ
2004.07.07 七夕や願ひごとして仰ぐ空
2004.07.11 汗拭ひ投票開始しばし待つ
2004.07.12 蝉時雨いちめんに満て朝は来ぬ
2004.07.13 蝉時雨に背中おされて走り出し
2004.07.14 百日紅登りたくなる雨上がり
2004.07.15 雲の峰天までとどけ吾がおもひ
2004.07.16 梅雨明けの知らせを聞けど上の空
2004.07.17 自転車乗って夏帽子よく似合ふ
2004.07.18 朝ぐもり水面に映る空しづか
2004.07.19 蝉時雨目覚し時計にまさりけり
2004.07.20 夏雲やビル見下ろして空に舞ふ
2004.07.21 両の手広げ立ち尽くす百日紅
2004.07.22 生きてゐる理由をさがす暑さかな
2004.07.23 通学路子供らは来ず夏休み
2004.07.24 涼風やガードの下をくぐる朝
2004.07.25 乙女らの歌声たのし夏の朝
2004.07.26 トンネルを抜け出て夏のわが心
2004.07.27 焼き鳥の身を思ひ知る暑さかな
2004.07.28 甲子園めざして球児汗まみれ
2004.07.29 百日紅朝の川辺によく似合ふ
2004.07.30 生きてゐることがうれしい夏の朝
2004.07.31 ドライブの目なごみたる夾竹桃


■ 2004年8月 (29句)
2004.08.01 朝色に染まる町並み夏休み
2004.08.02 遠花火聞きつつ夜をやりすごし
2004.08.03 愛といふ文字を辿りし花火の夜
2004.08.04 蝉時雨平和の祈りのごと聞こゆ
2004.08.05 七夕の用意整ひ夜が更ける
2004.08.06 水をくれと叫びて逝きしかの夏日
2004.08.07 雷と雨に打たれ道失へり
2004.08.08 大会歌甲子園に響き汗ぬぐふ
2004.08.09 サングラス越しに見る街砂漠色
2004.08.10 文を書く手休め仰ぐ夏の空
2004.08.11 夏空のむかふに覗く未来かな
2004.08.12 草を刈り母といっしょに墓参り
2004.08.13 雲の峰ヘリコプターを寄せつけず
2004.08.14 夏空へ背伸びしてゐる恋心
2004.08.15 涼風に心ただよふきのふけふ
2004.08.16 羊雲追ひかけて夏の朝しづか
2004.08.17 向日葵や思ひ託して仰ぐ空
2004.08.18 向日葵や首長くして待つ便り
2004.08.19 朝空や雲の行進秋近し
2004.08.20 甲子園の土握り締め夏過ぎぬ
2004.08.21 台風の報絶えず心安からず
2004.08.22 蝉の声遠ざかり行く秋近し
2004.08.23 アテネから朗報来る朝凉し
2004.08.24 ちちろ鳴く杜の向ふにネオン映ゆ
2004.08.25 交差点を残暑が通り過ぎる午後
2004.08.26 高架下風吹きぬけて秋近し
2004.08.29 朝の街雲追ひかけて夏終る
2004.08.30 商店街の人影まばら野分かな
2004.08.31 アパートをすっぽり包む残暑かな


■ 2004年9月 (23句)
2004.09.01 風の盆遠ざかる恋近づく恋
2004.09.02 道の端の朝顔空を見上げてる
2004.09.03 風をさまり一息つきし震災忌
2004.09.04 ビル群に稲妻かかる夜浅し
2004.09.05 大雨に二百十日を思ひ出す
2004.09.06 雲の峰ばかりが目立つ秋の空
2004.09.07 朝虹や足取り軽し遊歩道
2004.09.08 秋風を肌に感じて心ゆるむ
2004.09.10 秋の空つきぬけて生ゆメタセコイア
2004.09.11 九一一何事もなく過ぎて行け
2004.09.12 秋晴やすがすがしきは朝の街
2004.09.13 秋空に夢を追ひかけてゐる吾
2004.09.14 秋の雲つかまへたくなるビルの上
2004.09.15 秋空を雲が流れて夢飛行
2004.09.16 曼珠沙華路傍を飾る朝しづか
2004.09.17 蟋蟀の声やはらかに二人連れ
2004.09.18 生徒らの喚声ひびく秋の風
2004.09.19 そろそろと起き出す朝の子規忌かな
2004.09.20 はつらつと夜明けの体操敬老の日
2004.09.21 あの町へ飛びて行きたし秋彼岸
2004.09.22 無造作にコスモス咲きし空き地かな
2004.09.26 亡き姉を思ひ出したる秋彼岸
2004.09.27 青信号待つ交差点秋の雨


■ 2004年10月 (27句)
2004.10.01 月は西お日様東まぶしかり
2004.10.02 たくましくコスモス咲きし雨上がり
2004.10.05 さびしさや雨降りつづく秋の朝
2004.10.06 秋暁の窓に映れる日のまぶし
2004.10.07 跨線橋見渡す空に鱗雲
2004.10.08 子供らの声遠ざかる秋驟雨
2004.10.09 台風の兆し感じつ走る吾
2004.10.10 空高く吸ひ込まれ行く秋の夜
2004.10.11 木犀の香り母から伝へ聞く
2004.10.12 雲の上身を横たへてゐたい秋
2004.10.13 木犀や匂ひ散らして朝来る
2004.10.14 赤信号ぼんやりしてゐる秋の暮
2004.10.17 富士山に見送られ行く秋の旅
2004.10.18 東京の秋空の下物思ふ
2004.10.19 秋空にまぶしく映える銀座通
2004.10.20 どこにでも住める気がして秋半ば
2004.10.21 枝葉落つ道駆け抜ける野分あと
2004.10.22 実南天玄関先を守りけり
2004.10.23 ネオン街さがす都会の星明り
2004.10.24 赤信号ブレーキランプ秋の宵
2004.10.25 秋の夜地震の報に心痛む
2004.10.26 秋雨や被災地の安否気遣はる
2004.10.27 ラグビー場芝生あざやか秋の朝
2004.10.28 通夜終へて月の見守る家路かな
2004.10.29 月明りに思ひを託す夜の道
2004.10.30 秋の朝七里の渡しがらんどう
2004.10.31 イラクから訃報届きて秋さびし


■ 2004年11月 (27句)
2004.11.01 秋驟雨閉ざされてゐる夜の町
秋の雲愛運ぶごとふはふはり
少女らの下校する顔さはやかに
2004.11.02 秋暁やお日さま地の果て隠れん坊
2004.11.03 古書店で会ひし少年秋の声
2004.11.04 わびしさや日陰で揺れる実紫
2004.11.06 きらきらと愛の星屑夜半の秋
2004.11.07 秋の朝オアシスのような空の色
2004.11.08 ランニングして空仰ぐ今朝の冬
2004.11.09 やさしさを秤に掛けて秋暮るる
2004.11.10 小春日や街行く人の頬ゆるむ
2004.11.11 秋惜しむ心を映す曇り空
2004.11.12 水たまりに歩道ふさがれ秋終る
2004.11.13 落葉踏む欅並木に夢を追ふ
2004.11.14 山寺の石段登りて初紅葉
2004.11.15 雨上がり初木枯の知らせあり
2004.11.16 夜明け前手袋はめて走り出し
2004.11.17 富有柿食べてドライブ日和かな
2004.11.18 カラフルにナナちゃん人形冬衣装
2004.11.19 ストーブの恋しい季節はやなりぬ
2004.11.20 堀川端走り抜けてく冬の朝
2004.11.21 屋根上で日向ぼこしたいやうな気分
2004.11.22 蒲団干す母の背中のあたたかき
2004.11.23 小春日や群れなす僕らシティマラソン
2004.11.27 冬の朝マラソンコース人気なし
2004.11.29 冬満月今年もきれいにかがやけり
2004.11.30 ストーブでうつろなこころ暖まる


■ 2004年12月 (25句)
2004.12.01 境内の人影まばら冬の朝
2004.12.02 明けそめし大通り駆けて師走入り
2004.12.04 落葉踏む音を感じて駆ける朝
2004.12.05 雨上がり落葉の歩道まだ暗し
2004.12.06 立ち止まり心に感ず寒さかな
2004.12.07 冬の朝寂しげな振り曇り空
2004.12.10 往時偲ぶ宮の渡しの十二月
2004.12.11 冬が来て十年の月日はや過ぎぬ
2004.12.12 冬の海見守りて立つ野間灯台
2004.12.13 冬凪や黙々と行く貨物船
2004.12.14 星流れ思ひを託す夜半の冬
2004.12.15 寒暁やラグビー場は静かなり
2004.12.16 冬天を川面に映し夜が明ける
2004.12.19 カラオケで見下ろすネオン年忘れ
2004.12.20 冬雲をはねのけて行け空高く
2004.12.22 薄明に浮ぶ境内冬至かな
2004.12.23 日溜りを追ふ交差点冬の午後
2004.12.24 冷たさを跳ね除け吾もランニング
2004.12.25 空と川と夜明け混じりて寒き朝
2004.12.26 冬満月家々照らし心地よし
2004.12.27 冬雲の彼方に見ゆる夜明けかな
2004.12.28 月光にさそはれ寒暁の道を行く
2004.12.29 冬の雨心の隙にしみとほる
2004.12.30 冬の日が屋根に注いで大掃除
2004.12.31 歌声とともに更けゆく大晦日


■ 2005年1月分 (31句)
2005.01.01 寒暁の初ランニング目覚めかな
2005.01.02 初詣今朝はにはとり鳴かぬなり
2005.01.03 三ヶ日ありがたきかな雑煮餅
2005.01.04 お正月気分はいづこ早朝ラン
2005.01.05 公園で朝の体操寒に入る
2005.01.06 遠き人に思ひを馳せる仕事始め
2005.01.07 普段着で話が弾む七日かな
2005.01.08 冬晴や追ひかけてみたいきみの夢
階段を駆け上がる意気冬うらら
2005.01.09 初春や神恩太鼓心洗ふ
2005.01.10 葉牡丹の淡き彩り頬ゆるむ
2005.01.12 木枯を感じて姿勢立て直す
2005.01.13 冬空を未来へ飛んでけイルカ雲
2005.01.14 成人の日の疎外感いまもここに
2005.01.15 冬雲に知らんぷりして朝明ける
2005.01.16 消防車の音近づけり冬の朝
2005.01.17 震災の思ひ出かなし冬の朝
2005.01.18 朝焼けにぬくもり感じ冬たけなは
2005.01.19 寒暁を走り抜けたりラグビー場
2005.01.20 大寒や吹き抜く風に奮い立つ
2005.01.21 大寒やバス待つ顔はあてもなし
2005.01.22 日脚伸ぶ街に明るさ舞ひ戻る
2005.01.23 悴みて心細げに夜が明ける
2005.01.24 冬日向さがして歩く裏通り
2005.01.25 冬満月ぼんやり照らす街しづか
2005.01.26 冬満月ひそかに沈む夜明けかな
2005.01.27 桜咲く季節が浮かぶ枯木道
2005.01.28 透明なゼロから始まる冬の朝
2005.01.29 実千両ついばみし鳥の気配あり
2005.01.30 コート着て愛うたふストリートミュージック
2005.01.31 冬空を雲の船団ぐんぐんぐん


■ 2005年2月 (25句)
2005.02.01 さびしさも二月になれば和らぎさう
2005.02.02 しろき町雪踏みて走る夜が明ける
2005.02.03 節分や鬼をさがして鬼になり
2005.02.04 立春や目覚めもおなじ夢おなじ
2005.02.05 寒明けや花粉舞ひ散る気配あり
2005.02.06 春浅しスーパーの帰りひと呼吸
2005.02.07 冴返る公園の朝ストレッチ
2005.02.08 雨上がり二月の朝はすがすがし
2005.02.09 早春の日差し屋根にあふれてる
2005.02.10 薄明の街受験生並び行く
2005.02.11 冴返る夜更けの町にネオン映ゆ
2005.02.12 寒椿紅あざやかに雨上がり
2005.02.13 早春の日差しがうれし朝の町
2005.02.14 春暁や烏の声が空を切り
2005.02.15 大通り車の列に春日かな
2005.02.16 玉砂利の音こころよし春の雨
2005.02.17 春空に夢が飛び立つセントレア
2005.02.18 春月や道聞かれ心移ろひぬ
2005.02.19 早咲きの桜の蕾振り向く吾
2005.02.20 春浅し鉄路のかなた夢を追ふ
2005.02.21 冴返る並木に映すわが心
2005.02.22 春の月吾の行方を照らしをり
2005.02.23 春の雲垂れ込めてゐる心模様
2005.02.24 春ストーブのある暮らしまだ続きさう
2005.02.25 春の朝鴉に歩道さえぎられ


■ 2005年3月 (16句)
2005.03.01 三月の日差しにさそはれ町を行く
2005.03.02 早春の朝日を浴びる心地よさ
2005.03.03 心込め作りし母の雛人形
2005.03.06 首筋を通り過ぎてく春の風
2005.03.09 卒業のニュース聞きわが身を思ふ
2005.03.10 春雨や曇りがちなる母の顔
2005.03.11 春の雨あがりて星々目にしみる
2005.03.12 春風や心鼓舞して生きて行く
2005.03.13 春光や女子マラソンにドラマあり
2005.03.14 人気なき車にうっすら春の雪
2005.03.15 春暁や頭からっぽ走り出し
2005.03.16 春うらら案ずる気持ち空のかなた
2005.03.17 春雨にけぶる町並ひびく声
2005.03.18 卒業式吾も思ひぬ旅立つ日
2005.03.19 卒業の思ひを胸に歩き出す
2005.03.20 春の雲未来のはうへ飛んで行く


■ 2005年4月 (2句)
2005.04.26 朝の町躑躅の花がよく似合ふ
2005.04.28 春の空背伸びしながら夢飛行


■ 2005年5月 (29句)
2005.05.01 新緑に囲まれて朝すがすがし
2005.05.02 犬散歩躑躅あざやか雨上がり
2005.05.03 新緑にただよひながら走り行く
2005.05.04 五月晴交差点に立ち明日を見る
2005.05.05 朝凪の七里の渡し人気なし
2005.05.07 明け方の雨に打たれて夏に入る
2005.05.08 緑さす川面に朝の匂ひ満つ
2005.05.09 五月場所なにごともなく始まりぬ
2005.05.10 新緑に埋もれる心風を待つ
2005.05.11 川縁の並木に朝の風薫る
2005.05.12 新緑に舞ふ太極拳朝来る
2005.05.13 新緑を見下ろして雲ただよへり
2005.05.14 風薫る杜の向かふに朝の夢
2005.05.15 躑躅咲く川辺の朝が始まりぬ
2005.05.16 立ち止まる朝の交差点風薫る
2005.05.17 新緑と薫風ばかりのわが俳句
2005.05.18 萎れたる躑躅のようにならぬよう
2005.05.19 薔薇咲きしニュースを聞いて頬ゆるむ
2005.05.21 五月晴ひたすら駆けてどこへ行く
2005.05.22 木の息吹肌に伝はる緑雨かな
2005.05.23 ゆっくりと動き出す街夏の朝
2005.05.24 トリトンに夢を重ねて麦の秋
2005.05.25 五月晴飛行船乗って空の果て
2005.05.26 紫陽花と線路と電車競ふ朝
2005.05.27 五月晴心が揺れるぼくがゐる
2005.05.28 紫陽花のかなたに伸びる朝の街
2005.05.29 夏空に愛を叫んでゐる時間
2005.05.30 どくだみの葉に過ぎし日を重ねけり
2005.05.31 夏空を訃報が駆けて行く気配


■ 2005年6月 (26句)
2005.06.01 六月をよそ行き気分で迎へけり
2005.06.02 公園に佇むこころ朝曇
2005.06.03 曇のち晴れるといいな朝曇
2005.06.04 夏空を恨めしく思ふ床の下
2005.06.05 空砲がとどろき祭の朝来たる
2005.06.06 夏服に心も着替へ街歩き
女神像に誘はれ夏の空を舞ふ
わが思ひ花火にのせて夜間飛行
2005.06.09 体操の人の輪抜ける朝曇
2005.06.10 紫陽花に挨拶してゐる朝のぼく
2005.06.11 堀川の朝おだやかに梅雨入かな
2005.06.13 梅雨晴や玉砂利の音元気づく
2005.06.14 人間に失格はなし桜桃忌
2005.06.15 梅雨の朝道をえらびつ駆ける吾
2005.06.16 紫陽花や塀にもたれて雨を呼ぶ
2005.06.17 夏服を着て颯爽と女ゆく
2005.06.18 夏の朝くるま行き交ふ河岸市場
2005.06.19 紫陽花の佇むけはい貞照寺
2005.06.20 思ひ出が川面に映る朝ぐもり
2005.06.21 夏至の朝早起きしたくなる気分
2005.06.22 梅雨の朝仰ぎみる空記念橋
2005.06.23 梅雨の朝濡れて迎へる慰霊の日
2005.06.27 夏の夜心ほどけて更けて行く
2005.06.28 旱梅雨心のうるほひ失はず
2005.06.29 新緑にうるほふ心朝の雨
2005.06.30 雷に心がさわぐ夜の音


■ 2005年7月 (28句)
2005.07.01 七月や心は遠き雲の上
2005.07.02 記念橋に朝訪れて半夏生
2005.07.03 気だるさと雨がミックス梅雨の午後
2005.07.04 大通りエンジンひびく梅雨の朝
2005.07.05 雨上がり緑陰抜ける朝の気配
2005.07.06 川に沿ひ青葉のシャワー朝模様
2005.07.07 蝉の声探して走る朝しづか
2005.07.08 夏の朝くるまの出入り多忙なり
2005.07.09 夏の朝人それぞれのウォームアップ
2005.07.10 梅雨晴間踏切で描く旅の空
2005.07.13 夏あかつき風のごと空走りたい
2005.07.14 夏空に放り投げたいわが心
2005.07.15 初蝉に背中おされて走る吾
2005.07.16 扇風機のある生活が始まりぬ
2005.07.17 汗を拭く街角にひかるテレビ塔
2005.07.18 たをやかに朝を彩る蓮の花
2005.07.19 夏らしき蝉の合唱はじまりぬ
2005.07.20 父と行きし海水浴を思ひ出し
2005.07.21 憂ひ顔まるくおさめて夏満月
2005.07.22 夏満月落書きしたり夢見たり
2005.07.24 百日紅つかみどころのない人生
2005.07.25 雷鳴に心の扉あけてみる
2005.07.26 台風が来ぬ間に朝のランニング
2005.07.27 台風一過夜明けの空はすがすがし
2005.07.28 透明な心と空と蝉時雨
2005.07.29 汗拭きて子らと信号待つ時間
2005.07.30 川面揺れ心も惑ふ朝曇
2005.07.31 紅蓮に見とれてゐたい橋の上


■ 2005年8月 (28句)
2005.08.03 熱帯夜くぐりぬければ朝眩し
2005.08.04 氷小豆いつしかこども気分かな
2005.08.05 冷房の店に出入りし涼求む
2005.08.06 甲子園たくさん夢を咲かせたい
2005.08.07 何事もなく過ぎにけり原爆の日
2005.08.08 祭りの夜太鼓の音が胸焦がす
2005.08.09 生きてゐることから始まる原爆忌
2005.08.10 さびしさが汗と一緒に流れてく
2005.08.11 夏空に愛といふ文字走り書き
2005.08.12 墓参して未来のはうへ歩き出す
2005.08.13 はらはらと逆転勝利夏野球
2005.08.14 甲子園戦ひ敗れ夏果てぬ 
2005.08.15 戦争を知らないぼくらの終戦日
2005.08.16 夏の雨こころの澱も流れ出す
2005.08.17 ランニング終へて梅干頬張りぬ
2005.08.18 夏終る気配感じて走る吾
2005.08.20 遠ざかる蝉の声追ふ並木道
2005.08.21 雲の峰湧き立つ町に活気あり
2005.08.22 しあはせをさがして走る秋の朝
2005.08.23 夏休み思ひ出づくりままならず
2005.08.24 台風の近づく気配雲うごく
2005.08.25 台風の報せに心まどひけり
2005.08.26 大空を雲が流れて秋めきぬ
2005.08.27 秋空に飛行機消えて点となる
2005.08.28 秋の朝目覚めぬ吾は修行足らず
2005.08.29 秋涼や地を這ふやうに駆けて行く
2005.08.30 川縁に朝顔咲いて朝しづか
2005.08.31 雲おほひ工事現場の夏果てぬ


■ 2005年9月 (17句)
2005.09.01 にはとりが鳥居で遊ぶ九月かな
2005.09.05 秋雨に濡れる歩道とわが心
2005.09.07 野分あと夢追ひかけて駆ける吾
2005.09.08 秋の雲すいすい泳ぐビルの上
2005.09.09 秋の暮クルマが映ゆるショールーム
2005.09.11 総選挙終りてしづか秋の夜
2005.09.12 秋の朝川の向かふに町浮かぶ
2005.09.13 西鶴忌俳句で遊ぶ真似てみる
2005.09.14 自転車を追ひかけて走る秋の朝
2005.09.16 まっすぐの坂駆け上がる秋の朝
2005.09.17 銀輪が伸び伸び走る秋日和
2005.09.18 月朧忍びの里を照らすやう
2005.09.19 車窓から夢見るごとく月を見る
2005.09.20 万博のフィナーレ近し秋彼岸
2005.09.21 立待月西空に消え朝来る
2005.09.24 墓参して母と飲む冷茶いい気分
2005.09.25 秋風に吹かれて朝の一走り

以 上





2011/03/23 Ver. 1.12
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